物流計画を立てる: 納品全般に関するガイド

提供: Ingram Micro Commerce & Lifecycle Services

1 概要

課題

参入する市場を選んだら、販売に伴って必要となる工程について考えなければなりません。ターゲット市場の顧客は注文した商品をどのようにして受け取りますか。商品を配送するにはどのような仕組みが必要ですか。それはアウトソーシング可能ですか。自社のビジネス目標とターゲット顧客の期待に沿った独自の納品戦略を考える必要があります。

目標

利用できる納品手段にはどのようなものがあるのかを理解し、短期的、長期的目標に照らして最適な方法を見極めます。

2 納品とは

納品とは、商品を受注してから配達するまでの業務プロセス全体のことです。これには、倉庫でのピッキング、ラベリング、梱包のほか、商品を顧客に届けるために必要な業務のすべてが含まれます。

新たな市場に参入する場合、自社のビジネス目標とターゲット顧客の期待に沿った独自の納品戦略を考える必要があります。 顧客に関する目標や優先事項について考慮すべき項目の例として、次のようなものがあります。

  • 受注から配達までのスピードはどのくらい重要か。
  • 配送費用は懸念事項か。顧客は送料無料を希望しているか。
  • 商品の返品率は高いか。
  • 顧客は返品後、どのくらいの期間で返金してほしいと考えているか
  • 顧客が商品を開梱するときに、どのように感じてもらいたいか。

3 考慮すべき点

法律とコンプライアンス

納品モデルを検討する際には、税制、配送に使用する車両、政府規制について理解しておくことが重要です。要件は国によってさまざまですが、国外での納品には、納税者番号やその国でのなんらかの登録が必要となるケースがほとんどです。

決済方法

決済方法は国によって大きく異なります。グローバル展開を考える際は、提携企業やショッピング カートが適切な決済方法に対応しているか必ず確認してください。クレジット カードの利用が普及していない国もあれば、中国のように Alipay が使用されている国もあります。海外決済の取り扱いについて詳しくは、Market Finder の決済方法のセクションをご覧ください。

輸送

輸送は、顧客とのタッチポイントであることから、顧客エクスペリエンス全体において重要な部分です。国外への納品で考慮すべき税金、関税、VAT などの問題にどう対処するかによって、良好な顧客エクスペリエンスが提供できるか否かが最終的に決まります。

納品戦略モデル

前述の要素はすべて、自社のビジネスに適した納品モデルを選定する際に役立ちます。1 つの拠点からの直接配送、委託納品、地域納品の各戦略(後述します)を検討することで、現状のビジネスに最適な戦略はどれであるか、成長に伴ってどのように展開させる必要があるかを判断できます。

配送とサプライ チェーンを考える際は、次の質問を参考にしてください。

  • 国外から購入する顧客が多くいますか。
  • ターゲット市場にはどのような配送業者がありますか。
  • 注文から配達までの期間はどのくらいですか
  • 顧客へサービスを提供するための費用はどのくらいですか。

4 輸送

納品で費用が最も高いのは輸送です。輸送費用はいくつかの要素に細分化できますが、どの要素も注文あたりの費用を押し上げる可能性があります。

製造と搬入のための輸送

どこで製品を製造するかは、メーカーから納品センターへ搬入するための輸送費用だけでなく、納品戦略全般にも大きく影響します。たとえば、アメリカ北東部で製造した商品を同地域に納品している会社と、中国で製造した商品を、ロングビーチ港経由でアメリカ西部に輸入しアメリカ国内を長距離輸送する会社とでは、納品戦略は異なるでしょう。配送国外で製造する場合は、配送国内で製造する場合と比べて輸送費用と通関手数料が余分にかかることを考慮に入れておくことが重要です。

小型荷物の輸送

小型荷物の輸送費用はどの業者を利用するかによって異なります。一般的に、輸送業者は、国際輸送も国内輸送も扱う業者、地域の配送業者、郵便局と連携で配送を行う業者、郵便事業者に分類できます。

国際輸送も国内輸送も扱う業者

小型荷物の輸送大手は、FedEx、UPS、DHL のような国際輸送も国内輸送も扱う業者です。こうした業者は世界中に拠点を擁し、精度の高い荷物追跡オプションや、配達日指定の配送オプションを複数備えています。しかし、サービスが充実している分、費用も高くなります。配送料は一般的に最も高く、基本料金に加えて多額の追加料金が必要になる場合もあります。

地域の配送業者

近年、地域の配送業者や宅配業者が人気を集め、消費者にさまざまなオプションを提供しています。こうした業者は、地域内に強固な地盤を持ち、一般的に費用対効果に優れています。対象地域内であれば、国際配送業者や国内配送業者より広い範囲をより速くカバーできる場合もあります。必要な配送エリアをすべてカバーするには、複数の地域配送業者との提携が必要となる場合があります。また、郵便業者や国内配送業者と同じような追跡オプションや配送オプションを提供していない場合もあります。

郵便局と連携で配送を行う業者

配達スピードをそれほど重視しない場合は、郵便局と連携で配送を行う業者も人気がありますアメリカの例でいうと、FedEx Smartpost、UPS Surepost、DHL Global Mail などがこれに該当します。こうした業者は、小型荷物輸送業者のインフラを使って輸送しますが、購入者の元まで最終的に配達するのは地元の郵便局です。郵便局との連携による配送は、費用対効果の高いソリューションで、広範囲の配達先をくまなくカバーし、追跡機能も年々向上しています。ただし、この配送方法では配達日指定はできません。また配送まで日数を要することもあります。

郵便事業者

郵便事業者とは地元の郵便局のことです。多くの国で、郵便局のサービスは、荷物の追跡やサービス オプションといった面で大幅に改善しています。この方法は、国際輸送も国内輸送も行う業者と比べると、それほど顧客サービスを重視していない場合があり、スピードの面で劣ることもあります。

5 自社で行うことは可能か

納品業務を自社で行うことは可能です。不動産探し、不動産管理と従業員の雇用、プロセスの構築とシステム購入など、これらはすべて自社でできることです。しかし、世界をリードする企業の多くが、納品をサードパーティの物流業者や納品業者にアウトソーシングするのには理由があります。

アウトソーシングは、その業者のインフラ、専門知識、既存のシステムを利用できるという点で効率的です。グローバル展開している納品業者であれば、1 社と提携するだけで世界中に納品できます。ほとんどの場合、顧客は商品が販売者から届いたのか納品業者から届いたのか判別できません。納品業者ではなく販売者から直接配送されたように見せることも可能です。

6 納品戦略モデル

一般的な納品戦略とシナリオ、およびそれぞれのメリットと問題点は以下のとおりです。

費用 スピード 顧客エクスペリエンス 輸出業者にとっての複雑度 収益性
直接配送
委託納品
地域納品

ビジネスの成熟度と納品モデル

ビジネスの成熟度と納品戦略には密接な関係があります。 販売者が国外に直接配送するモデルは、低コストですばやく導入できるため、一般的にスタートアップが利用するソリューションです。ビジネスが軌道に乗るにつれて、顧客からの期待度も高まり、顧客エクスペリエンスと収益性も向上します。新たな市場で事業を展開し、資金に余裕ができた段階で、地域に合った納品を検討すると、さらに成長が見込めます。

7 物流拠点の数

納品拠点を何か所にすればよいのかで悩む会社は多いでしょう。戦略を決める際は、競合他社の状況と顧客が何を期待しているかを考慮することが重要です。競合に勝つためには、どのくらいのレベルでサービスを提供する必要があるでしょうか。

納品対象地域の面積が小さい場合は、1 つの拠点から納品する戦略が有効です。たとえば、イギリスでは国内に拠点が 1 か所あれば、全国民の 99% に翌日配達が可能です。面積が広い国(米国、カナダ、中国、ブラジル)の場合、2 日以内に配達するには最低でも 2 拠点必要な場合がほとんどです。

  • 1 拠点: 米国では、国内のほぼ全域に 3 日以内に配送可能な中央拠点を 1 か所設置するという方法を選ぶ会社もあります。

  • 複数拠点: 欧州のような地域では、欧州本土とイギリスにそれぞれ 1 拠点を構える会社もあります。また、迅速に配達できるよう複数の拠点で最小管理単位を保管し、それらの拠点に在庫補充する中央拠点を 1 か所設置する方法も一般的です。

8 返品と返金

納品戦略では、顧客と返品率を理解することが不可欠です。たとえば、衣料品を扱う会社の返品率は高くなることが予想されますが、食品や飲料品の場合は低くなるでしょう。顧客の習慣や期待、それらがビジネスに与える影響について理解し、返品戦略を決める際に考慮に入れることが重要です。

返品に関するアンケートのグラフ

(出典: Statista Survey)

9 1 つの拠点から購入者に直接配送

モデルの概要

1 つの拠点から購入者に直接配送する戦略では、販売者が本拠を置く場所から納品を行います。

適している会社

新たな市場でできるだけ早く事業を立ち上げ参入を果たしたい会社にとっては良いソリューションです。商品の返品率が低く、外国の商品をオンラインで購入することに抵抗感を持たない顧客層であることが望まれます。

法務上の留意点 国内販売も国外販売も税金は同じ。現地のノウハウがないため、法的な問題が発生する可能性がある。
決済方法 国によって異なるが、その国限定の決済方法は利用できない場合が多い。顧客は国際クレジット カードによる決済が必要。
配送とサプライ チェーン 配送料、関税、VAT は顧客負担。配送費用は高い。一般的に配送期間は長い(7 日間以上)。
返品と返金 困難。
競争優位性 すばやく市場にリーチできるが、外国の業者とみなされる。売上高、顧客エクスペリエンスともに低い。

10 委託納品

モデルの概要

委託納品では、輸入時に商品の所有権を納品業者が取得できるため、販売者は関税、通関手続き、納税者番号やその他の要件を心配する必要がありません。納品業者の中には、商品の最終荷受人として業務を請け負う会社もあります。そうした業者に委託した場合は配送先国内に新たに会社を設置する必要はありません。

適している会社

地域ごとのアプローチが必要な会社や、国外からの購入を嫌がる顧客を持つ会社がこの戦略を選択した場合、顧客は法令遵守や納税者番号の登録を心配せずに、国内の買い物と同じように気軽に購入することができます。また、数か月間市場を試したり、現地政府の書類を待つ間に手っ取り早く新しい市場に参入したりする場合にも適しています。

法務上の留意点 国内販売と国外販売で税金の差はない。適切な業者と提携すれば、法務上の問題は緩和される可能性あり。
決済方法 現地の決済方法を選択可能。
配送とサプライ チェーン 現地の在庫管理費用と倉庫費用がかかる。荷送人は関税、VAT を負担しない。配送期間は 2~3 日。現地の輸送業者を選定することで、費用対効果の高い配送が可能。
返品と返金 簡単。
競争優位性 すばやく市場にリーチできるが、成功するか否かは適切な業者と提携できるかによる。業務提携の費用がかかる。

11 地域納品

モデルの概要

地域納品とは、ある地域や国からの注文に特化した納品戦略です。

適している会社

地域納品は、事業を大きく成長させたい会社に適した方法で、複数のウェブサイト、通貨、納品センターをサポートする場合もあります。

法務上の留意点 法人を所有、法律の差異(税金、人事など)、会計、人員配置、大幅な増産。国内の税金と海外の税金は別々に報告。
決済方法 現地の決済方法を選択可能
配送とサプライ チェーン 現地の在庫管理費用と倉庫費用がかかる。荷送人は関税、VAT を負担しない。配送期間は 2~3 日。現地の輸送費用は委託納品モデルとほぼ同じ。
返品と返金 簡単
競争優位性 市場へのリーチ速度は遅め。売上高、間接費ともに高め。失敗リスクも高め。

12 始めるには

次の各項目を考慮したうえで、これまで説明してきた納品戦略のうちどれが自社に最も適しているかを検討します。

  • 法務上の留意点
  • 決済方法
  • 配送とサプライ チェーン
  • 返品と返金
  • 競争優位性

続いて、納品を自社で行うかアウトソーシングするかを検討します。アウトソーシングする場合は、ほとんどの納品業者で配送費用の優待制度が提供されているので、交渉してみるとよいでしょう。業者を選定する際は、顧客を大切にする企業であるか、自社の長期的な戦略に合っているか、自社の成長促進をサポートし、長期的なグローバル目標に理解を示す企業であるかを確認しましょう。

最後に、販売チャネルの確立や、ウェブサイトとショッピング カートのローカライズのプロセスに取り掛かります。ウェブサイト用のカスタマー サポート戦略も準備できているか確認してください。物流計画、国外での決済方法の確認、ウェブサイトのローカライズ、ビジネスの成長に伴うそのほかの問題についてサポートやツールが必要な場合は、Market Finder をご覧ください。

Ingram Micro Commerce & Lifecycle Services のロゴ

Ingram Micro Commerce & Lifecycle Services provides logistics solutions to help businesses connect supply and demand.

注意

本サイトで提供する資料は、情報提供のみを目的としています。財務、税務、法律に関するアドバイスは、専門家にご相談ください。