商業登記についてのガイド

英国での商業登記に関する主な留意点

1 概要

課題

正式な商業登記は、できるだけ費用対効果が高く時間のかからない方法で行うことが重要です。

目標

登記をした会社には、大きなメリットがあります。このメリットを得るには、商業登記が必要になります。商業登記を行うと法人格を付与され、法の枠組みの中で十分な活動を行うことができます。ここでの目標は、商業銀行の金融サービスも利用できるよう、正式に会社を登記することです。また、登記することで、従業員が社会保障を受けられるようにします。

2 登記の概要

商業登記簿は、管轄区域の新規および既存の会社の情報を記録および更新します。登記を行った会社は、会社法関連法を含む現行の規制の枠組みのもと、その義務に従います1

登記によって法人組織として認められ、一意の識別番号が付与されます。支払い能力のない会社は登記抹消となります。

登記所によるその他のサービスを以下に示します。

  • 会社名での検索の実施
  • 会社名の留保
  • 事業許可のための申請処理

登記によって政府は以下を実行できます。

  • 正規のセクターでの税務コンプライアンスまたは税回避の評価
  • セクター別の事業統計の取得
  • 公開入札に参加できるエンティティの選定
  • 製薬や調理など高リスクの業種に対して衛生、安全、環境の達成基準を定めるなど、消費者保護の推進

商業登記の効率化

包括的な電子データベース、ワンストップ ショップ、または最近利用が増えているオンライン登記プラットフォームのいずれかを利用できれば、登記は効率的に行われると考えられます。

電子データベース

効果的な電子データベースには新規に登記した企業と既存の企業に関する最新の情報や文書が記録されています。電子データベースを利用すると、オンラインまたは登記所内で簡単に情報にアクセスできます。

従来、登記簿は紙の文書として保管されていましたが、近年は電子データとして保管される登記簿が増えています。電子化により、ビジネス情報を更新する際のミスが減り、検索も迅速になっています。また、統計情報へのアクセスも容易になります。

ワンストップ ショップ

ワンストップ ショップは 1 か所で複数の商業登記手続きを完了できるサービスです。スタートアップ企業の経営者は、各種政府機関の担当者のオフィスを、いくつも訪れなければならないことがあります。一部のワンストップ ショップはビジネス オーナーにとって、商業登記に関わるすべての政府機関との連絡を 1 か所で済ませられる窓口になっています。ビジネス オーナーが登記に必要な全書類を担当者に提出すると、その担当者が手続きと認可のために、適切な機関への書類提出を行います。

現在は 100 を超える国でワンストップ ショップが設置され、普及が進んでいます。このうち 64 か国は低所得国または中所得国です。

3 オンライン登記プラットフォーム

登記の方法として最も効率的なのは、オンラインで行う方法です。法人設立の書類をオンラインで電子的に提出することができ、商業登記の手続きをすべてオンラインで完了できる場合もあります。

オンライン登記の一般的な機能には以下があります。

  • オンライン会社名検索
  • 関連書類と申請書の電子提出
  • 年次報告書のオンライン提出
  • 異なる機関どうしでのデータの交換

たとえばシンガポールとニュージーランドでは、スタートアップ企業のオーナーは法人登記の手続きをすべてオンラインで済ませられます。関係機関のシステム間の接続により、税務当局と社会保障当局に同時に商業登記を行い、その手続きを完了することができます。

オンライン登記を利用するメリット

オンライン サービスを使用した商業登記には、いくつかのメリットがあります。ワンストップ ショップに行くよりも短時間で完了し、紙ベースの登記手続きに比べて、費用も最小限で済みます。別のメリットとして、スタートアップ企業がオンラインで登記を行える地域は、職員と直接やり取りする機会がないため、賄賂や汚職が少ない傾向にあります。

4 英国における会社設立手続きの簡素化

英国で会社を設立する場合は、企業登記局で登記を行う必要があります。2006 年会社法(2006 Companies Act)と 1985 年法で、新規設立の有限責任会社はすべて、企業登記局で登記を行うことが法的に義務付けられました。

企業登記局は 2001 年に電子申請を導入し、登記の手続きをできる限り簡素化しました。企業登記局に出向いて行っていた従来の登記方法と比べて、電子申請では会社設立が迅速かつ簡単になり、費用も安く済むようになりました。英国のスタートアップ企業の間では電子申請が一般的になっています。2013 年には 98% を超える新規会社が電子申請で登記を行いました2

新しい会社をオンラインで登記する場合、法人設立の書類を提出するだけです。全体の手続きにかかる時間はわずか数時間です。法人設立の申請書は企業登記局のウェブサイトから無料で入手でき、詳細な説明も付属しています。

登記はオンラインでも企業登記局でも行えますが、登記局では備え付けのパソコンを使用して電子的に登記することができます。

5 英国企業登記局による登記の簡素化

企業登記局はオンライン登記を導入し、登記手続きの簡素化を図ってきました。また、登記前の準備も簡単になりました。

これは、登記データへのアクセスが改善されたことによるものです。その結果、スタートアップ企業が最初の調査を簡単に行えるようになりました。また、1996 年には、既存の会社の基本情報が無料で利用できるようになりました。これにより、起業家は会社名の検索を、オンラインと企業登記局で簡単に行えるようになりました。

企業登記局では現在、オンラインまたはモバイルアプリによる基本的な会社情報の検索を、無料で毎年 2 億 3,500 万件処理しています。 企業登記局は 2016 年、会社情報の内容を以下のように増やしました。

  1. 会社番号
  2. 住所
  3. 会社形態
  4. 会社設立データ
  5. 計算書類
  6. 年次報告書の提出日

データへのアクセスが改善され、電子処理が可能な手続きや無料の資料開示が増えて以来、英国における企業の登記件数は 2 倍に増えました。

出典リスト

  1. Motta, Oviedo and Santini 2010; Klapper and Love 2011

  2. UK Companies House 2013(英国企業登記局、2013 年)