中国向けの物流計画を立てる

提供: Ingram Micro Commerce & Lifecycle Services

1 概要

課題

世界最多の人口を抱えた世界第 2 位の経済大国である中国は、国外展開を検討している企業が非常に大きなビジネス チャンスを見いだせる国です。中国が自社の成長戦略に直接関係していなくても、世界最大の輸出国であることを考えると、広範囲の経済展望を描く際に考慮すべき国であるといえます。

目標

このガイドを読むと、中国が持つ潜在的なビジネス チャンスと、それを最大限に活かす方法を理解できます。また、グローバルでのパワーバランスにおける中国の位置づけと、それがビジネスに与える影響についても大枠をつかむことができます。

2 中国へのビジネス展開

海外でのビジネス展開を計画する際は、参入しようとしている市場の現況を考慮することが重要です。中国は、名目 GDP で世界第 2 位、購買力で世界最大の経済大国です。良好な輸送インフラを備え、製造に大きな重点を置く、世界最大の物品輸出国でもあります。

中国の物流市場は断片化されています。上位 20 社の運送業者が市場に占める割合は 2% にもおよびません。物流会社の大部分は、特定の地域に根ざす中小企業です。数社の国外企業(DHL、FedEx、UPS)に加え、国営の物流会社、民間の物流会社がありますが、国外の輸送プロバイダにとって、独自のネットワークを持っている現地企業との競争は困難です。輸送費用を検討する際には、現地企業が提示する最も良い条件に目を向けてください。

中国の e コマース市場は、米国(4,500 億ドル)、英国(1,100 億ドル)、日本(950 億ドル)を上回り、世界最大を誇ります。e コマースは成長領域です。2017 年には中国における小売販売全体の 23.1% を e コマースが占め、2021 年には 40.8% まで増加すると予測されています1。河南省、山西省、新疆ウイグル自治区などの地域ではオンライン ショッピングの年間成長率が 100% を超え、e コマース全体の成長によって物流業界も急成長しています。

中国の地図


  1. eMarketer 

3 中国におけるビジネス展開の概要とメリット

  • 中国のオンライン ショッピング額は、2019 年までに 1 兆ドルに達すると予測されています1

  • 中国は、国境をまたぐ購買に好都合な国であることに変わりありません。これはコスト面での優位性が主な理由です2

  • 購買傾向は進化を続けています。人口の 74% は国内のショップのみを利用し、24% は国内だけでなく国外からも買い物をして、2% が国外のショップのみを利用しています3

  • 中国における越境 e コマースで人気のある商品カテゴリを、以下のグラフに示します4

中国における越境 e コマースで人気の高い商品カテゴリ(2016 年)


  1. Forrester 

  2. eMarketer 

  3. PayPal 

  4. iResearch 2016/Ecommerce Foundation 

4 消費者の動向

新規市場へ参入する際、消費者行動について考えることは極めて重要です。ターゲットとする消費者は、通常どのように商品を購入し、どのような配送方法を選択しているでしょうか。消費者の動向が中国市場進出に与える影響については、以下のデータが検討材料となるでしょう。

  • 中国の購入者は、注文した商品をすぐに受け取ることに慣れています。また、多くのオンライン ショップが即日発送に対応しています。

  • 国境をまたぐショッピングの場合、中国の購入者は、特定の商品を国外から購入する傾向があります。たとえば、電子機器は米国と日本の企業から購入することが多く、美容関連の商品は日本と韓国の企業から購入することが多くなっています。

  • 中国の購入者は、ソーシャル メディアでのプレゼンスが強いブランドから購入する傾向が高く、オンラインのレビューやおすすめに大きな影響を受けます。アジアの多くの地域では、50% を超えるオンライン購入がソーシャル メディアの影響によるものです1

  • ソーシャル メディアのプレゼンスは中国で消費者向け販売を展開するブランドにとって不可欠ですが、オンラインでの買い物は商品の選択肢が幅広いショッピング モール経由が多いため、独立したオンライン ショップはそれほど重要ではありません。

  • 中国におけるオンライン販売の約 3 分の 2 はモバイル機器からの購入で、2012 年から 2,000% の伸びを記録しています2

  • 中国における e コマースの成長は、第 3 および第 4 階層の都市によってけん引されています。新興都市での購買行動が、全般的な成長と傾向に影響を与えるでしょう3

中国における e コマースの利用者と売り上げのグラフ


  1. Marketing-Interactive.com 

  2. eMarketer 

  3. MarketingToChina 

5 中国の自由貿易区

多くの企業が中国の自由貿易区(FTZ)に事業所を設立しています。FTZ とは、中国の税関当局による介入なしで、物品を陸揚げ、処理、製造、再輸出できる特別な経済地区のことです。

FTZ は地理的利点(主要な海港および国際空港)のある場所に設置されています。2013 年、上海に最初の FTZ が開設され、その後、天津、広東、福建などに複数の FTZ が設置されました。

FTZ 内では、中国に到着する輸入品にラベル付けなどの要求事項が適用されます。B2B(企業間の取引)と B2C(企業対消費者の取引)の両方が対象です。税関規定は中国全土に適用されますが、利用する通関ゲートウェイに応じて規定の適法方法が異なる場合があります。それぞれの企業に適したやり方を検討するにあたり、主要な FTZ の概要を以下にまとめていますので参考にしてください。

上海 FTZ

  • 2013 年に設置された上海 FTZ は、広さ 120 平方キロメートルを超える、中国本土で最初に設置された自由貿易試験区です。
  • 倉庫設備、調達、配送、サプライ チェーン管理に利用できる広大な場所を提供しています。 上海 FTZ は、国外の販売業者および最小管理単位(SKU)に事前登録を要求しているため、B2C ビジネスには人気のないゲートウェイです。B2B の輸入で主に利用されています。

福建 FTZ

  • 2014 年に設置された福建 FTZ は、広さ約 118 平方キロメートルで、アモイ、福州、平潭の各エリアを含んでいます。
  • 台湾との経済協力に焦点を合わせることで、その他の世界各国に対して中国を開放する貿易環境の整備が目的です。
  • 高度な製造、海外発送、観光、21 世紀の海のシルクロード建設、金融商品の連携に重点を置いています。

広東 FTZ

  • 沿岸の広東省に位置する広東 FTZ は、中国本土と香港・マカオとのさらなる融合に取り組んでいます。
  • 世界各国とつながる経済区を作り、前海および蛇口地区に製造をベースとしたサービス産業を発展させ、グローバルな配送とサプライ チェーンのハブを構築することを目指しています。
  • 金融業界、通関手続き、欧州およびアフリカへの海上貿易ルート開通に重点を置いています。
  • 中国 e コマース輸入のメインハブです。

天津 FTZ

  • 天津市に設置された天津 FTZ は、広さ約 119 平方キロメートルで、中国・モンゴル・ロシア経済回廊における天津の活性化を目標としています。
  • 北京・天津・河北地区の発展、および中国全土の制度革新に向けた同地区の開放を目指しています。
  • 主な活動には、最高峰の製造、研究開発と技術の移管、金融リース、国際配送と物流などがあります1

(出典: Mylo Trade)

自由貿易区の地図

新しい FTZ

新たな自由貿易試験区が遼寧、浙江、河南、湖北、重慶、四川、陝西の 7 か所に設立されることが決定し、各 FTZ に独自の重点項目が定められています。浙江は国際海事サービスと国際石油精製品貯蔵に注力し、遼寧は国有企業変革の深化に重点を置いています。重慶は中国の「一帯一路」計画の発展を推進し、河南は国際物流と輸送に焦点を絞ります。

FTZ のメリット:

  • 輸出入時の関税が優遇される。
  • 特別な税関監督システムがあるため、管理手続きの処理が容易になる。
  • 後々の段階になるまで、詳細な通関手続きが必要にならない。
  • 物品の通関に要する時間が短縮される。
  • 供給業者は、試験運用されている FTZ または保税物流園区(FTZ と類似の規則が適用される地区)に商品を出荷した後、VAT の払い戻しを受けられる2

中国国内の輸送

輸送インフラがしっかりと整備されているため、中国本土のどこへでも 7 日間以内に配送が可能です。東部海岸地域と中部地域なら、配送期間は 1~3 日です。企業は通常、1 か所のフルフィルメント センターに作業を集約するか、複数のフルフィルメント センターを設置して各地域の市場に対応します(中国の購入者に商品を配送する一般的で費用対効果が高い方法)。中国を新規市場として検討する場合、主要なフルフィルメント センターを 2 か所以上設置することが推奨されます。1 か所は南部地域、もう 1 か所は上海近郊(または北京近郊)が望ましいでしょう。


  1. Healy Consultants Group PLC 

  2. Journal of Commerce 

6 中国での輸送

小口貨物運送業者

以下に示すとおり、中国の一般的な小口配送の運送業者は、CTO、TTK、Best Express、ZJS、STO、Yunda、YTO、ZTO、EMS(中国郵政)、SF Express です。EMS は中国全土を網羅しているため人気があります。その配送範囲には、民間の業者がサービスを提供してない農村部が含まれます。2 大 e コマースサイトであるアリババと JinDong(京東)は、主要都市に各社独自でラスト ワンマイル配送のインフラを整備しています1

  • SF Express: マーケット シェア 8.2%
  • EMS / 中国郵政: マーケット シェア 6.2%
  • ZTO: マーケット シェア 14.3%
  • YTO: マーケット シェア 14.7%
  • Yunda: マーケット シェア 10.5%
  • STO: マーケット シェア 12.4%
  • その他: マーケット シェア 33.7%

LTL(トラック 1 台に満たない小口貨物)および TL(トラック 1 台分の貨物)運送業者

地域ごとに異なる物流プロバイダがサービスを提供するため、大きい配送には複数の運送業者を利用する必要があります。大きい貨物の主要な運送業者は以下のとおりです2

  • Deppon
  • ANE
  • ZTKY
  • YIMIDIDA
  • YCG
  • HOAU
  • SF Express
  • ShengFeng
  • LBEX
  • CNEX

  1. China Money Network 

  2. Journal of Commerce 

7 中国でビジネスを始めるには

中国市場への参入を検討する際は、ご自身のビジネスに最も適した輸送手段を考えてみてください。また、提供している物品が輸入可能なことも確認する必要があります。次に、発生する可能性のある輸出入管理を検討し、中国への事業進出を始めるにあたって輸入申告書が必要かどうかを確認します。最後に、進出を考えている中国内の地域をカバーしているフルフィルメント センターと運送業者を探します。

世界銀行が発表している「ビジネスのしやすさ指数」(Doing Business Index)を使用すれば、中国でのビジネスのしやすさをあらかじめ知ることができます。これは、世界の経済圏ごとに、企業にとって現地法人を設立、運営することがどれだけ容易かを 1~190 の範囲で示したもので、10 個のテーマ(電気事情、信用の得やすさ、越境取引のしやすさなど)に沿って評価されています。

新規市場へ参入するには、経営、規制、物流の分野で発生し得る課題を把握しておくことが重要です。法的要件を確認したり、物流計画を立てたりする際は、Market Finder をお役立てください。詳細なガイドやインサイトを含む、サポートおよびツールをご利用いただけます。


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