予算編成と予測

顧客からの問い合わせボリュームを予測して十分なリソースを確保し予算を配分する

1 概要

顧客からの問い合わせボリュームを的確に予測することは、効果的なカスタマーケア業務に欠かせない取り組みです。正しく予測できれば、適切なリソースを選択し、運営費を管理することができます。予測を間違えると、以下の結果につながります。

  1. キャパシティ過剰: エージェントが余っている状態で、不必要な運営費がかかるほか、エージェントの業務満足度が低下する

  2. キャパシティ不足: 顧客からの要求に対応するエージェントの人数が足りない状態で、電話に応答できない、解決までの時間が長くなるといったことが発生する

2 業務の立ち上げ

新しいカスタマーケア業務を立ち上げる前に、キャパシティの計画を立て、必要な人数を予測することが重要です。また、時間とともにこの人数がどのように変動するかを予測する必要があります。特に新規市場では、顧客からの問い合わせボリュームに関する過去のデータを利用できないため、この予測が困難になる可能性があります。

エージェントの人数を予測するときに考慮すべき要素は以下のとおりです。

  1. 対応ボリュームの予想
  2. 対応言語の数
  3. 対応チャネルの数(電話、メール、チャットなど)
  4. 営業時間
  5. カスタマー サポートの SLA(最初に回答するまでの時間など)
  6. エージェントの生産性

3 予算編成

カスタマーケア業務の予算を編成するには、顧客からの問い合わせボリュームを長期的に予測した情報が必要になります。この予測情報を使用して、望ましい業務指標を達成するために必要なエージェントの人数を割り出します。

問い合わせのボリュームから必要なエージェントの人数を、さらには予算を割り出すには、以下の要素を考慮する必要があります。

  1. 平均処理時間 - 顧客からの各種問い合わせを解決するまでにかかる時間

  2. 生産時間 - エージェントが実際に顧客の問題を解決している時間

  3. 時間あたりの費用 - エージェントの賃金やベンダーとの契約によって決まる

計画内および計画外の追加業務費用が発生した場合に備えて、予算にバッファを設けるとよいでしょう。その年度内にチームが実施するその他のプロジェクト、パイロット、テストにかかる具体的な金額も忘れずに含めてください。また、ベンダーとの契約にインセンティブ(表彰、イベント、会議、コンテストなど)の定めがあれば、それも含めます。

4 予算の予測とパフォーマンスの監視

予測モデルを構築し、それを使って人員の数を見極め、必要な予算を数値化するのは、複雑なプロセスです。可能な場合、自社内でデータ分析のスペシャリストを特定したうえで、この分析を実施してください。

リソースの要件を予測するには、さまざまな異なるオプションがあります。カスタマーケア業界で得に一般的なのは、アーラン C 式を使った計算方法です。この方法は実績のあるアプローチで、ある時間間隔内のリソース要件を計算するために使用され、さまざまな仮説の根拠になります。

予測モデルを作成する際に、予測の細かさ(日、言語、製品ごとなど)と精度の間には妥協が必要になると認識しておくことが重要です。どの推定テクニックも同様に、結果は平均にとどまることが多く、極端な例になることはありません。

予測を導入して予算を割り当てたら、頻繁に見直しを実施して、予測に対して実際の結果がどうなっているかを測定する必要があります。不一致が発生した場合はソースを把握し、適切な対応策を講じることが重要です(予算内に収まるよう業務を修正する、追加の予算を要求する、など)。

5 システムとツール

多くの CRM システムとツールには、予測機能が組み込まれています。ワークフロー管理システムを計画する際には、そうした機能を考慮すべきです。この予測機能を活用すれば、顧客からの問い合わせボリュームの分析が簡単になり、季節的な傾向のほか、商品やサービスへの変更による影響を把握できるようになります。

こうしたシステムでは過去の傾向に基づいた予測を生成できますが、一方で、ビジネスで今後発生する変化に注意し、それに応じてカスタマーケアの予測に調整を加えることをおすすめします。たとえば、新製品の発売や大きなマーケティング キャンペーンによって顧客の行動が増えれば、それに応じてカスタマーケアのボリュームも変化します。組織全体で効果的な連絡手段を確立して、こうした変化に対応し、顧客からの要求に応えるのに十分な数のエージェントを確保できるようにすることが大切です。