市場拡大に関連した税の検討事項を知る

ビジネスの国際展開にあたって検討すべき法的要素

新たな輸出市場に進出するということは、新たな税制や行政ルールのある競争に参入するということです。ルールを理解し、それに応じて計画を立てることで、最善の策をもって参入できるとともに、リスクも抑えられます。

新たな市場、新たなルール

国際租税法に対応したスムーズな市場参入を果たすには、追加の経済的負担が発生するだけでなく、運営や時間の面でも影響が生じます。さらに国際租税法が守られていなければ、厳しい罰則が科せられる場合もあります。そのため、細心の注意をもって租税法を遵守することが極めて重要になります。

Market Finder を使えば、調査の時間を短縮し、自身の税務情報が適切で信頼できることを確認できます。業務をバックグラウンドで円滑に管理できるので、ビジネスに集中できる余裕を生み出せます。

時は金なり

税制の理解と納税は、輸出先の市場で新たなビジネス チャンスを見出すための時間とリソースを奪ってしまいかねないプロセスです。

輸出先の市場で税制を遵守するための時間的要件を評価するとき、初期の計画、計算、納税の他にも検討すべき事項があります。税制変更への継続的な対応、誤りがあった場合の訂正、税務調査への対応、還付金の申告と受領なども、時間を圧迫する要因となります。

世界の税制度における洗練度合いの違いは、効率性の違いを意味します。経済発展が遅れている国では、堅牢な電子システムが準備されていないことがあります。また、納税に要する時間1が長引いたり、納税件数2が増えたりする場合もあり、結果として税務調査の回数も多くなってしまいます。

中規模の国内企業の平均では、納税に要する時間は 251 時間、納税件数は 25 回で、合計税率の平均は 40.6% となっています3

世界の状況

以下に紹介する世界の状況では、輸出を検討している中規模の国内企業にとって重要な、税務関連の検討事項のヒントを提供しています。

アフリカ

現在もなお納税がしづらい地域です。平均の納税件数は世界で最も多く、合計税率と納税に要する時間も 2 番目の高さとなっています4

  • 合計税率は引き続き上昇しました(ミニマム税率の導入と社会保障負担の増加が理由)
  • 納税に要する時間は、会計ソフトウェアや納税、申告用電子システムの改善により減少しました
  • 税務申告後の手続きは比較的円滑に進行していました。税務調査は、アフリカの経済圏の 51% で法人所得税申告の訂正後に発生しやすくなっているものの、調査が完了するまでの期間は世界平均より短くなっています

税制や関税に関する検討事項など、アフリカ進出にあたってのより詳しい情報は、日本貿易振興機構のウェブサイトをご覧ください。

アジア太平洋、オセアニア

アジア太平洋地域は、税務申告後の手続きを除いたすべての指標で世界平均を上回りました。納税に要する時間と納税件数は減少の一途にありますが、合計税率がわずかに上昇しました。

  • 納税に要する時間と納税件数は、電子システムの導入と改善により減少しました
  • 合計税率は、当地域で給与税と事業税が上昇したことによりわずかに上昇しました
  • 税務申告後の手続きにかかる時間は、付加価値税(VAT)の還付手続きを除いて世界平均よりも長くなっています
  • 当地域の法人所得税に対する税務調査の平均所要期間は、他の地域と比較して最も長くなっています。また、45% の経済圏で法人所得税の税務調査の発生が見込まれます

税制や関税に関する検討事項など、アジア進出にあたってのより詳しい情報は、日本貿易振興機構のウェブサイトをご覧ください。

税制や関税に関する検討事項など、オセアニア進出にあたってのより詳しい情報は、日本貿易振興機構のウェブサイトをご覧ください。

中央アメリカ、カリブ諸国

合計税率と納税件数は、収益税の変更と電子システムの利用改善に伴い、引き続き減少しました。

  • バハマでは VAT の導入により、納税に要する時間がわずかに増加しました
  • 当地域の税務申告後の手続きは円滑に進行しているとはいえず、所要時間は世界平均よりも長くなっていました
  • 当地域は他の地域よりも VAT の納税、還付に一番時間がかかります

税制や関税に関する検討事項など、中央アメリカ、カリブ諸国進出にあたってのより詳しい情報は、日本貿易振興機構のウェブサイトをご覧ください。

中央アジア、東ヨーロッパ

中央アジアと東ヨーロッパの諸国は、合計税率、納税に要する時間、納税件数のすべてが同年の世界平均を下回るとともに減少しており、納税のしやすさに関して引き続き優れた結果となっています。

  • 当地域の納税件数は、電子システムの継続的な導入、改善と税の撤廃を理由として、同年で最大の減少を記録しました
  • 税務申告後の手続きは、ほとんどの地域よりも円滑に進行していました。VAT の還付を受けるまでの期間、納税に要する時間、法人所得税の税務調査が完了するまでの期間の 3 つの点で、世界平均よりも優れていました

税制や関税に関する検討事項など、東ヨーロッパ進出にあたってのより詳しい情報は、日本貿易振興機構のウェブサイトをご覧ください。

EU、EFTA 加盟国

当地域のほぼ 3 分の 2 の経済圏で、合計税率に影響する変更が行われました。

  • しかしながら、収益税、給与税、その他の税において、合計税率の変更幅はほとんどがわずかなものでした
  • EU、EFTA 加盟国は、オンラインで申告、納税ができない税を導入したことにより、納税件数が増加した唯一の地域です
  • 税務申告後の手続きに関しては、訂正があった法人所得税申告を調査する経済圏はわずかです
  • VAT の還付は当地域全体で可能となっています

税制や関税に関する検討事項など、EU、EFTA 加盟国進出にあたってのより詳しい情報は、日本貿易振興機構のウェブサイトをご覧ください。

中東

引き続き、世界で最も納税のしやすい地域であり、合計税率は世界で最も低く、納税に要する時間も世界最短でした。ただし、税務申告後の手続き関連の結果では、世界平均を下回りました。

税制や関税に関する検討事項など、中東進出にあたってのより詳しい情報は、日本貿易振興機構のウェブサイトをご覧ください。

北米

3 つの経済圏を抱えるこの地域は、現在も納税件数が世界で最も少なく、納税に要する時間も引き続き世界平均を下回っています。

  • 当地域の合計税率は、固定資産税と給与税の変更によって若干上昇したものの、依然として世界平均を下回っています
  • 米国では法人所得税の訂正により税務調査が発生することを受け、当地域における税務申告後の手続きの評価も良好となっています

税制や関税に関する検討事項など、北米進出にあたってのより詳しい情報は、日本貿易振興機構のウェブサイトをご覧ください。

南米

合計税率と納税に要する時間は減少しているものの、現在でも他の地域と比べて最も高くなっています。

  • 合計税率は、取引税の基準税率の変更に伴い低下しています
  • 納税に要する時間は、当地域における電子システムの導入、改善が効果を発揮して減少しました
  • 納税件数も、電子システムの改善によって世界平均よりも少なく抑えられていました
  • 南米は税務申告後の手続きの効率性が全地域で一番低くなっています。主な理由としては、VAT の還付がどの経済圏でも受けられないこと、法人所得税の手続きに要する時間が世界平均よりも長いことがあります

税制や関税に関する検討事項など、南米進出にあたってのより詳しい情報は、日本貿易振興機構のウェブサイトをご覧ください。


  1. 「納税に要する時間」は、各種の主な税金(法人所得税、給与税、強制徴収される負担金、消費税)の申告準備、申告、納税に必要な時間を表しています。 

  2. 「納税件数」は、企業が税の申告と納税の手続方法に従って、複数の種類の税と負担金を申告、納税しなければならない回数を示しています。 

  3. 世界銀行グループ『Paying Taxes 2017』調査 

  4. PwC